「俺って、地味だよね?」
「ええっ!! いきなりどうしたんですか?」
「だって、16年間出番なかったし。その出番だってたった一言の上、名前もなかったし」
「…尾浜先輩」
吹きつける風にまだ冷たさを感じる今日、僕と5年い組の尾浜勘右衛門先輩は人目を忍んで―何故か必ず誰かに邪魔をされてしまうため―幸せな時間を過ごしていた。
…が!
今日一番強い風が通り過ぎた後、突然尾浜先輩が下を向いて今に至る。
「乱太郎だって、急に出てきた俺なんかよりも、雷蔵や善法寺伊作先輩とかの方に大分懐いているみたいだし」
「それは」
「それに、乱太郎と二人きりになろうとしても、俺の力が未熟だからいっつも誰かに邪魔されるし…はぁ」
どんどん尾浜先輩に元気がなくなっていくのが見て分かる。
「せーんぱいっ」
「うわっ!」
木に凭れていた体を起こして、未だ横で俯いている尾浜先輩に抱きつく。
「先輩って可愛いですね」
「俺がっ?!」
分からないという感じに目を見開いてビックリしてるとこがまた可愛く感じられて、そのままギューッと抱きしめる。
「学園のみんな大好きですけど、お……勘右衛門先輩が一番好きです…先輩は、特別なんです」
体重をかけたままにしていると、ようやく先輩が抱きしめ返してくれた。
「乱太郎…うん、俺も乱太郎が大好きだ!」
さっきまでの沈んだ感じはなく、大好きな先輩の笑顔に、自分も嬉しくなって笑顔でしがみつく。
「乱太郎は温かくて気持ちが良いな」
「そうですか?」
「離したくなくなっちゃうくらいね」
「……嬉しいです」
無意識に言った先輩の言葉に、こっちが意識しちゃって、思わず頬が熱くなるのを感じる。
鐘が鳴るまでの時間。
短い間だけど、1日で一番心が躍る。
願わくば、この時間がずっと続きますように。
きっと先輩は知らないから、気付いて欲しい。
先輩が思うのと同じ…ううん、きっとそれ以上に、僕が先輩を好きだってことに。
*END*
勘ちゃん大好きです!!どマイナーですが、勘乱が広まってくれないかなぁ(^^)
やっぱり4年5年6年の上級生も最高vV
5年生には無駄に懐いて欲しい(>∀<)雷蔵いるしね!!
[2回]
PR