不運、いや保健委員会委員長でもある僕としたことが、こんなヒドい風邪をひいてしまうなんて。
でも、今回は不運だけでは終わらなかった。
「伊作先輩、大丈夫ですか?」
今にも泣きそうな顔で心配そうに僕を覗き込む、学園のアイドルこと1年は組の猪名寺乱太郎。
「大丈夫だよ。ただの風邪だがら…ぶえっくしゅ!」
安心させようにも、鼻水は止まらないは、くしゃみがでるは…ああ。乱太郎の可愛い顔がまた不安そうに。
ちょっとズルイかもしれないけど、こんな時くらいは良いよね?
「ねぇ、乱太郎。お願いがあるんだけど」
「はい! 何でも言ってください」
「すごく寒いんだ…温めてくれる?」
ソッ、と布団を持ち上げて弱々しく尋ねると、使命感に燃えている乱太郎は、すぐに横に入って僕を抱きしめる。
「ごめんね。乱太郎にも風邪がうつっちゃうかもしれないね」
「大丈夫です。そしたら、伊作先輩に看病してもらいます…だから…早く良くなってください」
まだ体温の高い僕の胸に顔を埋めてしがみつく乱太郎にギューッと胸がしめつけられる。
こんな下心ばかりの気持ちでいるなんて知ったら、逃げてしまうかな。
ごめんね、こんな先輩で。
「乱太郎。体を動かすのがダルいんだ…乱太郎から接吻してくれないか?」
ダメ元で言ってみると、布団の中でモゾモゾと動いて僕の上に被さり、顔だけ外に出し、首に腕をまわすと同時に唇が重なる。
「んっ…んん」
いつも以上に甘く感じる乱太郎をもっと味わいたくて、顔を固定してたっぶりと舌を絡める。
「あむ…ん、んぅ…せんぱっ…はぁはぁ」
時間をかけてゆっくり口を離すと、2人の間に銀色の糸が繋がる。
風邪とはまた違った熱で真っ赤になって目を潤ませている乱太郎に我慢が出来ず、互いの体を反転させてゆっくり着物を脱がしていく。
接吻の余韻から抵抗という抵抗もみられず、頭のてっぺんから足の先まで味わいつくしていく。
頭まですっぽり布団を被っているため、真っ暗な中互いを求めて抱き合う。
「先輩…伊作先輩っ」
不安もあって必死に僕に縋る乱太郎。
「大丈夫だよ。僕はここにいるからね」
だから、乱太郎のすべてを僕に頂戴。
後日、乱太郎が風邪をひいたのは言うまでもないが、看病をしたのは善法寺伊作ではなく、1年は組だった。
伊作は、風邪をうつした罰として、他の6年生に隔離されていたようだ。
*END*
今放送中の予算会議での伊作の風邪を見て、妙に書きたくなってしまった作品。
PCさえネットが繋がったら、裏にしたかった(涙)
[6回]